スーパーマイクロコンピュータは2024年2月2日、2024年12月31日に終了した2024年度(2023年7月1日〜2024年6月30日)第2四半期の決算を発表しました。注目ポイントをブログ形式でご紹介します。
業績ハイライト
第2四半期の売上高は36億6500万ドルで、前年同期比103.2%の大幅な増収となりました。純利益は2億9600万ドルと、同67.2%の増益を達成。第2四半期としては過去最高の業績を記録しました。
製品別では、サーバー・ストレージシステムの売上高が34億3600万ドルと前年同期比106.9%増となり、全体の売上高の93.7%を占めています。GPU、HPCなどのハイエンド向け需要が堅調に推移したことが増収要因です。一方、サブシステム・アクセサリーの売上高は2億2900万ドル(同61.1%増)にとどまりましたが、データセンター向けのアクセサリー販売が伸長しました。
地域別では、米国の売上高が26億600万ドルと前年同期比138.7%増と大きく伸びました。アジアでも6億5600万ドル(同98.4%増)と好調でした。欧州は2億8800万ドル(同7.7%減)と減収となりましたが、ドイツ、英国、フランスでの落ち込みが主因です。
粗利益率は15.4%と、前年同期の18.7%から3.3ポイント低下しました。しかし、製造効率化などにより一定程度の改善が見られました。
Charles Liang会長兼CEOは、「当社のカスタマイズ性の高いソリューションに対する需要は引き続き堅調であり、今後も成長を続けていく」とコメント。2024年度通期の売上高は140億ドル、1株当たり利益は14.00〜15.50ドルを見込んでいます。
技術トレンド、自社製品のトレンド
同社は、GPU搭載サーバーやHPCクラスターシステムの開発に注力しています。NVIDIA社やAMD社の最新GPUを搭載し、AIや機械学習分野での需要取り込みを狙います。
ストレージ製品では、大容量・高速処理を実現するNVMe SSDの採用を積極的に進めています。インテル社のOptane DCパーシステントメモリーを活用した次世代ストレージサーバーの投入も計画中です。
5Gエッジコンピューティングの分野にも注力。通信事業者向けの省スペース・省電力サーバーを提供し、ネットワークの仮想化・自動化を支援していく方針です。
成長戦略
同社は、2024年1月に不動産の取得に合意しました。サンノゼ本社に近接する約8万平方メートルの土地・建物を8000万ドルで購入します。新たな製造拠点として活用し、生産能力の拡張を図ります。
また、中国とシンガポールにR&D拠点を新設。現地の優秀な技術者を採用し、現地ニーズに適した製品開発を加速させます。中国市場の開拓にも注力し、売上高での構成比を2024年度中に10%まで高める計画です。
経営状況
第2四半期の業績について、より詳しく見ていきましょう。
連結損益計算書 (単位:千ドル)
売上高 1,803,195 3,664,924 +103.2%
売上原価 1,465,773 3,100,602 +111.5%
売上総利益 337,422 564,322 +67.2%
販売費及び一般管理費 122,240 192,858 +57.8%
営業利益 215,182 371,464 +72.7%
税引前利益 207,091 355,447 +71.6%
法人税費用 29,573 61,503 +107.8%
持分法投資損益 (1,351) 2,024 –
当期純利益 176,167 295,968 +67.9%
売上原価の増加により、売上総利益率は15.4%と前年同期比3.3ポイント悪化しました。一方、販管費の伸びは売上高の増加率を下回り、販管費率は5.3%と1.4ポイント改善。結果として営業利益率は10.1%と2.1ポイントのマイナスにとどまりました。
株主還元については、2022年8月に2億ドルの自社株買いプログラムを発表。2024年1月末までに1億5000万ドル分の自社株買いを実施しました。今後も株主への利益還元を強化していく方針です。
リスク要因としては、世界的な半導体不足や物流の混乱、地政学リスクなどが挙げられます。ただ、同社はサプライヤーとの強固な関係を築いており、部材調達面での影響は限定的とみられます。
総括
スーパーマイクロは、サーバー事業を中心に力強い成長を続けています。GPU、ストレージ、5Gエッジといった先端分野での優位性を武器に、データセンター需要を着実に取り込んでいます。
製造能力の増強や技術者の確保など、成長に向けた積極投資も行っています。世界的な供給制約などの不安要素はありますが、独自の強みを生かして業績拡大を目指します。今後の動向から目が離せません。