アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)2023年12月期決算報告
アマゾン・ドット・コムが2023年12月期(2023年1月1日〜2023年12月31日)の決算を発表しました。主な内容は以下の通りです。
業績ハイライト
・売上高は前期比12%増の5,748億ドル。オンラインストアの売上高は2,319億ドルと前期比5%増加。
・営業利益は368億5,200万ドル(前期は122億4,800万ドル)と大幅に改善。純利益は304億2,500万ドル(前期は27億2,200万ドルの損失)と黒字転換を達成。
・北米セグメントは売上高3,528億ドル(前期比12%増)、営業利益149億ドル(前期は28億ドルの損失)。インターナショナルセグメントは売上高1,312億ドル(同11%増)、営業損失27億ドル(前期は77億ドルの損失)。クラウドコンピューティング事業のAWSは売上高908億ドル(同13%増)、営業利益246億ドル(同8%増)と全セグメントで増収増益を達成。
CEOのアンディ・ジャシーは「2023年はお客様のために優れた価値を提供し、コスト管理にも注力した1年だった。販売促進費用を抑制しつつ、フルフィルメントセンターの稼働効率化など、様々な取り組みを行った。技術やイノベーションへの投資も継続しており、業績の改善と長期的な成長の基盤作りを両立することができた」と総括しています。
技術トレンド、自社製品のトレンド
・配送ロボットやドローンの活用拡大など、物流のテクノロジー化を推進。
・エンタープライズ向け動画会議サービス「Chime」を発表。法人向けのクラウドサービス拡充を図る。
・AIスピーカー「Alexa」の機能向上や多言語対応を進め、ユーザー体験を強化。
成長戦略
・ヘルスケア大手のOne Medicalを35億ドルで買収。ヘルスケア事業への本格参入を図る。
・人工知能企業のAnthropicへの出資を拡大。次世代のAI技術開発を加速する狙い。
・成長市場であるインドでのEC事業拡大に注力。物流網の整備やサービスの現地化を進める。
経営状況
・売上高は4期連続で増収。コスト最適化により、営業利益率は6.4%まで改善(前期は2.4%)。
・1株当たり当期純利益は2.90ドル(前期は0.27ドルの損失)。配当は実施せず、60億ドルの自社株買いを行った。
・世界的な金利上昇や物価高などの外部環境の変化がリスク要因。また、競合他社との競争激化や法規制の強化なども経営に影響を与える可能性がある。
総括
アマゾンは2023年12月期、増収増益を達成し業績を大きく改善させました。AWS事業が引き続き高い成長を維持したほか、ECをはじめとする各事業の収益力強化が奏功しました。先行投資と効率化の両立により、将来の成長に向けた基盤も着実に構築しつつあります。
ヘルスケアやAIなど新たな事業領域への進出も本格化しています。既存事業の深化と新規分野の開拓の両輪で、アマゾンは今後もダイナミックな事業展開を進めていくものと見られます。外部環境の不確実性は高いものの、テクノロジーを梃子にしたイノベーションと顧客重視の姿勢を貫くことで、持続的な企業価値向上を目指します。