アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の2023年度業績報告
2023年12月30日に終了した会計年度(2023年1月1日〜2023年12月30日)の業績について、主なポイントをまとめます。
業績ハイライト
・2023年度の売上高は前年比4%減の227億ドルとなりました。クライアント事業の減収が全体の業績に影響しました。
・データセンター事業は、AMDのGPUやCPUの好調な販売により7%増収。特にAIアクセラレータの需要が大幅に伸びました。
・エンベデッド事業は、Xilinxを通年で連結したことで17%増収。
・純利益は前年比35%減の8億5,400万ドル。営業利益の減少が主因です。
・CEOのLisa Su氏は「AIの活用が加速する中、当社のプロダクトポートフォリオはAIソリューションの展開に最適な位置づけにある」とコメント。
技術トレンド、自社製品のトレンド
・AIの活用に向けたCPU、GPU、アダプティブコンピューティングの幅広いポートフォリオを拡充。
・データセンターでは第4世代EPYCプロセッサやCDNA 3アーキテクチャ採用のGPUなどが好調。
・ゲーミング分野ではRDNA 3アーキテクチャを採用したRadeon RXシリーズGPUを投入。
・エンベデッド分野ではRyzen Embedded 7000シリーズや新型アダプティブSoCを発表。
成長戦略
・AIソフトウェア企業のMipsology SASとNod, Inc.を買収し、AIエコシステム構築を加速。
・戦略的パートナーシップの強化により、データセンター、ゲーミング、エンベデッド市場でのシェア拡大を推進。
・地域別では北米や欧州での事業拡大に注力。一方で中国市場の不透明感は継続。
経営状況
・売上原価率は55%から54%に改善。
・R&D費用は前年比17%増の59億ドル。AIへの投資を拡大。
・自己株式の取得を9億8,500万ドル実施。配当は実施せず。
・為替変動リスク、サプライチェーンリスク、競合リスクなどに言及。
総括
AMD社は2023年度、クライアント事業の落ち込みにより減収減益となりましたが、データセンターとエンベデッド事業は堅調に推移しました。AIの活用拡大を見据え、ハードウェアとソフトウェアの両面でポートフォリオを強化。今後はAIソリューションでの需要獲得がカギを握ります。一方、世界的な経済減速や地政学リスクには注意が必要です。AMDの技術力と市場適合性の高い製品の訴求により、AIの波をチャンスに変えられるかが注目されます。