バークシャー・ハサウェイ2023年12月期 決算レポート
業績ハイライト
バークシャー・ハサウェイは2023年12月期の決算を発表しました。2023年の業績は以下の通りです。
- 総収益は前年比20.7%増の3,645億ドル
- 当期利益は前年のマイナス228億ドルから962億ドルに黒字転換
- 株主資本は前年比18.5%増の5,613億ドル
セグメント別では、保険引受事業が69億ドルの利益と好調でした。特にGEICOは大幅な増益となりました。一方、BNSFの鉄道事業は減益となりましたが、引き続き強固な収益基盤を維持しています。
会長兼CEOのウォーレン・バフェット氏は、「我々のビジネスは力強く、将来の成長機会に満ちている。市場の短期的な変動を見るのではなく、収益力のある優良企業に長期的に投資する我々の戦略に自信を持っている」と述べました。
技術トレンド、自社製品のトレンド
同社の主力子会社の一つ、The Lubrizol Corporationは特殊化学品大手です。同社は輸送機器や産業機械向けの潤滑油添加剤などの開発に注力しており、電気自動車の普及に伴う新たな需要の取り込みを狙っています。
また、保険事業においてはデータ分析とデジタル技術を活用したサービス改善に取り組んでいます。顧客データを分析し、よりパーソナライズされた商品提案を行うことで競争力強化を図っています。
成長戦略
バークシャー・ハサウェイは2023年1月、Pilot Travel Centersの株式を追加取得し、出資比率を80%に引き上げました。Pilot社は北米最大の高速道路サービスエリア運営会社であり、同社の強固な事業基盤の獲得による成長が期待されます。
地域別では、アジア太平洋地域やヨーロッパにおいて保険事業の成長機会を追求しています。一方、主戦場である米国では、インフレや金利上昇などのマクロ環境の変化がビジネスに影響を与えるリスクがあります。
経営状況
損益計算書では、総収益が前年比20.7%増の3,645億ドル、営業利益が436億ドル(前年は348億ドル)、当期利益が962億ドル(前年は228億ドルの赤字)となりました。
包括利益計算書では、当期利益962億ドルに加え、為替換算調整額などのその他の包括利益を合わせた包括利益は975億ドルとなりました。
同社は長年にわたり自社株買いを継続しており、2023年も92億ドルの自社株買いを実施しました。配当は実施していません。
経営リスクとしては、自然災害の多発による保険事業への影響、サイバー攻撃、規制環境の変化などが挙げられています。こうしたリスクへの対応力を高めることが重要な経営課題となっています。
総括
バークシャー・ハサウェイの2023年12月期決算は、総収益の増加と当期利益の黒字転換を果たすなど力強い内容となりました。同社の主力事業である保険や鉄道などは引き続き安定した収益基盤となっています。
また、The Lubrizolなどの製造事業では、次世代の技術トレンドを見据えた研究開発や新事業開拓に取り組んでいます。M&A戦略においても、Pilot社の追加出資など新たな成長の柱の獲得を進めました。
世界的な不確実性の高まりを受けて、リスクへの備えを一層強化することが求められます。しかし、バークシャー・ハサウェイの強固な財務基盤と優良企業への長期投資という不変の戦略は、将来の成長を支える力になるでしょう。世界有数の投資会社としてのプレゼンスを維持・向上させていくことが期待されます。