2023年12月期 アルファベット社 年次報告書の要約
業績ハイライト
2023年12月期のアルファベット社の業績は、総売上高が3,074億ドル(前期比9%増)、営業利益が843億ドル(同13%増)となりました。
主力のGoogleサービスの売上高は2,725億ドル(同8%増)でした。内訳は以下の通りです。
- 広告収入: 2,379億ドル(検索広告や動画広告が牽引)
- 消費者向けサブスクリプションやデバイス販売など: 347億ドル(YouTubeサブスクリプションが伸長)
Google Cloudの売上高は331億ドル(同26%増)で、クラウドインフラやプラットフォームサービス、Google Workspaceが寄与しました。
CEOのSundar Pichai氏は「AIを活用した製品改善に継続的に投資することで、ユーザーと広告主に新たな体験を提供し、成長を続けられると確信しています」とコメントしています。
技術トレンド、自社製品のトレンド
アルファベットは「AIファースト」の企業を標榜しており、検索、翻訳、音声アシスタントなどの自社サービスにAIを積極的に導入しています。
2023年12月にはGeminiと呼ばれる高性能なマルチモーダルAIモデルを発表し、社内の各事業で活用を始めました。またPixelスマートフォンにもAI機能を拡充しています。
Google Cloudでは企業向けのAIプラットフォーム「Vertex AI」やデベロッパー向けの「Duet AI」の提供を強化し、クラウド事業の差別化を図っています。
成長戦略
アルファベットは継続的な研究開発投資に加え、有望なスタートアップの買収も成長戦略の柱としています。2023年は5億ドル規模のM&Aを実施しました。
地域別では米国と欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域が全体の約8割を占めますが、アジア太平洋や中南米などの新興国でも2桁台の高成長が続いています。今後はこれらの地域へのローカライズ投資を強化していく考えです。
経営状況
2023年12月期の主要財務数値は以下の通りでした。
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(単位:百万ドル) 2022年 2023年
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総売上高 282,836 307,394
営業利益 74,842 84,293
当期純利益 59,972 73,795
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営業利益率 26.5% 27.4%
EPS(希薄化後) $4.56 $5.80
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売上高は前述の通り、Google事業とクラウド事業の成長が牽引しました。営業利益は売上増に加え、データセンター運営の効率化などのコスト管理が寄与し2桁の伸びとなりました。
キャッシュリッチな同社は過去5年で1,500億ドル超の研究開発投資を実施。株主還元も積極的で、2023年は621億ドルの自社株買いを行いました。
経営リスクとしては、テクノロジー業界の競争激化や規制当局の監視強化、プライバシー保護の社会的要請の高まりなどが挙げられています。同社はこれらに適切に対応しつつ、AIを中心とした技術革新で持続的な企業価値向上を目指します。
総括
アルファベット社の2023年12月期は、主力のGoogle事業とクラウド事業が堅調に推移し、増収増益を達成しました。同社はAIへの投資を加速させており、検索・翻訳・音声アシスタントといった自社サービスでのAI活用に加え、Google Cloudを通じた企業向けAIソリューションの提供にも注力しています。
今後の成長に向けては、有望スタートアップの買収や新興国でのローカライズ投資など、外部リソースも活用した多角的な戦略を展開。リスク要因にも留意しつつ、AIによるイノベーションを軸に企業価値向上を目指していく方針です。
AIがもたらす技術の大変革期において、同社がどのようにリーダーシップを発揮していくのか。業界の先駆者として、その動向から目が離せません。