Meta Platforms社の2023年の年次報告書(Form 10-K)の日本語要約記事。
Meta Platforms社 2023年通期業績レポート
本レポートでは、Meta Platforms社の2023年12月期(2023年1月1日〜2023年12月31日)の業績や事業の概況についてお伝えします。
業績ハイライト
2023年通期の業績は、売上高が前年比16%増の1,349億ドル、営業利益が同62%増の468億ドルとなりました。Family of Apps(FoA)セグメントの売上高は、前年比16%増の1,331億ドルでした。一方、Reality Labs(RL)セグメントの売上高は同12%減の19億ドルにとどまりました。
CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、「2023年は事業効率化に注力しつつ、重要な成長機会への投資を継続した1年だった。FoAセグメントは堅調な広告収入により大幅な増収増益を達成した。RLセグメントは当面赤字が続くが、メタバース実現に向けた長期的な布石と位置付けている」とコメントしました。
技術トレンド、自社製品のトレンド
2023年は、FoAセグメントにおいてAIを活用した各種取り組みを強化しました。特にReels動画やディスカバリーエンジンで、パーソナライズされたコンテンツ推薦を実現するなど、ユーザーエンゲージメントの向上につなげました。
RLセグメントでは、仮想現実(VR)ヘッドセットの新製品「Meta Quest Pro」やMR(複合現実)ヘッドセット「Meta Quest 3」などをリリース。現実世界とのシームレスな連携を可能にし、メタバース時代の新たなコンピューティングプラットフォームの基盤となる製品として展開しています。
成長戦略
2023年9月にスマートグラス「Ray-Ban Meta」を発売するなど、VR/ARハードの製品ラインナップを強化。エンタープライズ向けに販路を拡大し、VR/AR市場におけるリーダーシップの確立を狙います。
中国を始めとするアジア太平洋地域では売上高が30%増と高い成長率を記録。新興国を中心に、ユーザー数の伸びしろが大きい点に注目が集まります。買収・出資を通じて有望なスタートアップとのエコシステム構築にも注力する方針です。
経営状況
<損益計算書(単位:百万ドル)>
2023年 2022年 増減率
売上高 134,902 116,609 +16%
営業費用 88,151 87,665 +1%
営業利益 46,751 28,944 +62%
当期純利益 39,098 23,200 +69%
<包括利益計算書(単位:百万ドル)>
2023年 2022年
当期純利益 39,098 23,200
その他の包括利益 1,375 ▲2,837
包括利益 40,473 20,363
2023年は増収増益基調が続き、売上高・営業利益・当期純利益とも前年比2桁増となりました。営業費用の伸びを抑制したことで、営業利益率は25%から35%に大幅改善しています。
2024年2月1日には初の株主還元策として1株当たり年間2ドルの配当支払いを発表。長期的な企業価値向上に向けて、成長投資と株主還元のバランスの取れた資本政策を志向しています。
経営リスクとしては、ユーザープライバシー保護の強化やコンテンツモデレーションの厳格化に伴うコスト増、メタバース関連事業の収益化の遅れ、各国の規制当局による法的措置などが挙げられます。
総括
Meta Platforms社の2023年通期決算は、FoAセグメントの好調な広告収入を原動力に、増収増益を達成しました。一方、RLセグメントは先行投資フェーズが続いており、今後の収益化が課題です。
AIやVR/ARなどの次世代テクノロジーを積極活用し、メタバース時代を見据えたイノベーションに挑戦しています。ユーザー数の拡大余地が大きい新興国での事業機会の獲得や、規制リスクへの対応力も問われるでしょう。
メタバースという新たなフロンティアを切り拓くべく、長期的視点に立った成長戦略を着実に推進していくことが求められます。メタバースが広く社会に浸透し、事業が軌道に乗るまでには時間を要すると見られますが、その実現に向けた取り組みの行方が注目されます。