NVIDIAのForm 10-Kに記載されている事業セグメント情報を基に、各セグメントの業績を以下のように分析します。
- 各セグメントの売上高、営業利益、営業利益率の比較:
Compute & Networking (C&N)セグメント
- 売上高: 474億0500万ドル(前年比215%増)
- 営業利益:320億1600万ドル(前年比530%増)
- 営業利益率:67.5%
Graphicsセグメント
- 売上高:135億1700万ドル(前年比14%増)
- 営業利益:58億4600万ドル(前年比28%増)
- 営業利益率:43.2%
C&Nセグメントの売上高と営業利益の伸び率がGraphicsセグメントを大きく上回っています。C&Nセグメントの営業利益率も67.5%と非常に高い水準にあります。一方、Graphicsセグメントの売上高、営業利益の伸びは比較的緩やかで、営業利益率もC&Nより低くなっています。
- 各セグメントの業績推移と強み・弱みの分析:
C&Nセグメントは、データセンター向けの加速コンピューティングプラットフォーム、ネットワーク、自動車向けAIなどが好調で、大幅な増収増益を達成しました。エンタープライズやインターネット企業、自動車や金融、ヘルスケアなど幅広い業界からの旺盛な需要が業績を牽引しました。同セグメントは高い収益性と市場シェアを持つNVIDIAの中核事業に成長しつつあります。
一方、Graphicsセグメントは、ゲーミングGPUやワークステーション向けGPUの販売が主な収益源です。チャネル在庫の正常化とゲーミング需要の回復により増収増益となりましたが、ゲーム機需要やマイニング需要の変動に影響を受けやすいことが弱みと言えます。
- 事業セグメント別業績の企業全体への影響:
2024年度は、C&Nセグメントの大幅な増収増益によって牽引され、NVIDIA全体の売上高が前年比126%増の609億2200万ドル、営業利益が前年比681%増の329億7200万ドルと、非常に高い成長を遂げました。営業利益の大部分をC&Nセグメントが稼ぎ出しており、全社の収益性を大きく向上させています。
一方、Graphicsセグメントは安定的な収益源ではあるものの、企業全体の成長をけん引するほどの勢いはありません。NVIDIA全体の業績は、今やC&Nセグメント、特にデータセンター事業の好不調に大きく左右される構図になりつつあります。AI需要の拡大を背景に、同社はC&Nセグメントを中心とした事業拡大を進めていくものと考えられます。